2022年11月14日 ウクライナ戦況推移

11月14日時点

 

ウクライナ戦争において、大きな動きがありました。

南部ヘルソンで、ロシア軍が撤退が事実上確定したと思います。これはBBCなどのニュースでもヘルソンに入城するウクライナ軍特殊部隊の映像が流れており、その背景からヘルソン市中心部の広場であると思われる映像でした

※ ロシア進駐に反対する市民が威嚇射撃とガスで追い払われた場所と同じとみられる為(個人調べ)

 

これは、先にロシアが報じた司令官の撤退進言に国防省が同意するニュースを裏付けるものであり、大規模な欺瞞工作(作戦)の可能性は捨てきれないが、これまでのロシア軍の惨状やウクライナから発表される戦況(現場の状況)、準軍事学視点から、本格的な撤退(転進)であると結論づけられる。

 

他の専門家もテレビ等で指摘している通り、河川を利用した防衛ラインの再構築を企図したものであるというのが軍事学上の定説だと思われる。

ではなぜ、河川を利用した防衛ラインと考えるのか?

これは河川(水や水流)が自然と進軍の妨害になるからである。平時の生活でも河川は皆さんも渡河することがあると思うが、日本では橋を使うことが一般的であり何ら不便に思うことはないと思う。

ただし、戦場では渡河は大変面倒な作業であるのだ。

橋は破壊され、ドニプロ川のように水深が深く、川幅もある大陸の河川を渡河することは船舶もしくは水上稼働可能な車両(水陸両用車)が必須であり、今後冬を迎える同地ではさらに過酷な現場となる。

想像してほしい、日本の河川でも利根川や墨田川などん下流域で橋を使わずに渡河すると考えると、あなたならどうだろうか、

装備を付けた兵隊が泳いで渡河しても冬の河川で凍死するだろうし、そもそも重量がありすぎて泳げない。船などの道具を使用してもその行動(速度や、上陸地点、一回に運べる戦力)は制限がかかる。敵もこの機を逃さないはずである。

簡単にイメージすると、映画プライベートライアンのような上陸戦闘になる!!

特に冬場。。。もう地獄ですね・・・。

 

では、今後どのような戦況の推移が予想されるかというと、この戦争の双方の目的と現状の兵力戦力を新ためて考慮するべきであろう。

まず、上陸作戦には上記の通り、膨大な物資と兵員が必要となる。

一般的に上陸作戦を遂行し成功させるには、攻撃側は守備側の6倍の兵力が必要と考えられている、簡単には100名で守備している場所に上陸して奪還するには600名の人員が必要という事である。

※つまりは、作戦中に少なくとも200名ぐらいは犠牲になることが前提なのである。

ノルマンディーなどは、圧倒的兵力を用意して臨んだ為、達成できたものであり現状のウクライナ軍に上陸能力と、その対応兵力が残っているのか?上陸してもそこで兵力を消耗すると進撃(逆撃すら撃退)できない!!という事になりかねない。

ウクライナ軍には、新たな兵力を補充するすべも少ないのではないか??動員できる男性が少なくなっているだろうし、社会経済活動にも影響がこれまで以上に出るだろう・・・。WW2のような国家総動員(根こそぎ動員)はかけられないのではないか??という点もある。

また、ロシア軍も撤退前にドニプロ川東岸には防衛ライン(トーチカや塹壕掩蔽豪、砲撃陣地など)を準備しているはずである。これらが整ったので撤退をしたと考えるのが自然である。報道では3重にも防衛ラインを構築しているとある。

その強固な防衛ラインを突破して上陸するだけの兵力と戦力がウクライナ軍にあるとは考えられない。

 

よって軍事的冒険をしての大規模な上陸侵攻作戦は起きないと考える。

現状は、西岸地域奪還後、新たにハイマースや重砲(りゅう弾砲)の射程に入る補給デポ(補給物資の集積場)や、補給路、陣地(司令部や兵舎、対空及び砲兵陣地等)にたいしての攻撃に終始してロシア軍の継戦能力を削る作戦に終始るるのではないだろうか?

ロシア軍からも一定の反撃がありつまりはこれまで通りの砲撃戦が展開されると思われる。

ウクライナ重要攻撃目標は、対空及び砲撃用レーダー陣地、対空及び砲兵陣地、補給デポ、司令部(通信設備)となる。ここに重点的にドローン、ハイマース、りゅう弾砲での攻撃を仕掛ける。

 

次に、ザポリージャ付近(エリア的には北部から東部の支配地域)からの機甲部隊の南部への進撃が考えられる。

これはドニプロ川は南部では敵が東岸にいるが北部では東岸地域はウクライナ支配下でありとかは橋を使い容易に可能である。

この地域から、徐々にではあるが今まで通りの攻撃をかけて進撃していくことで南部ロシア軍部隊への圧迫をするというのが定石ではないだろうか??

ただし、ザポリージャ周辺(原発付近)はウクライナ軍も迂回する可能性もある。ザポリージャだけをとれば包囲して孤立させる動きを見せるだけでその地点にいるロシア軍は一定の無力化を達成できると考える。

※ 補給がなくなくルだけでその場にいる部隊は行動が出来なくなるものなので・・・。

 

ロシア軍もその点は理解しているはずなので、ロシア軍からするとドニプロ川の上流地域への攻撃(航空機攻撃、誘導弾攻撃)をすることでウクライナ軍の後方補給路の遮断を企図しつつ、東部および南部ザポリージャ地域への防衛線強化もしくは侵攻作戦が妥当だと思われる。

もう一点、ロシア軍としては北部地域つまりは首都キーウへの再侵攻(ベラルーシ国境)による第二戦線の構築によるウクライナ軍の分散を図る可能性もある。

※ これはロシア軍の現状が不明なため、政治的影響を無視した準軍事学的な最大限の可能性である。

 

ロシア軍は戦線を縮小することで今まで以上に兵力に余裕が出てくることも考えると、東部方面での反撃や防衛線も強化されることから今後はさらに各方面で激戦が予想される。

 

これからも、ロシア軍の自滅を促す後方の補給路を圧迫するような攻撃を中心に行い、補充兵と物資の消耗を促し、ロシア軍の自発的な撤退を促すのが今後の先方として考えられる。ただし、ウクライナ軍及びロシア軍の状態は軍事機密の為、予想以上の戦力が保有されている場合は別の選択肢があるかもしれません。